AM OLED vs. PM OLED：ディスプレイ技術の戦い

OLED技術がコンシューマーエレクトロニクス市場を席巻する中、アクティブマトリクスOLED（AM OLED）とパッシブマトリクスOLED（PM OLED）の論争が激化しています。どちらも鮮やかな映像を実現するために有機EL（OLED）を活用していますが、そのアーキテクチャと用途は大きく異なります。ここでは、それぞれの主な違いと市場への影響について解説します。

                                               コアテクノロジー
AM OLEDは、薄膜トランジスタ（TFT）バックプレーンを採用し、コンデンサを介して各ピクセルを個別に制御することで、正確かつ高速なスイッチングを実現します。これにより、高解像度、高速リフレッシュレート（最大120Hz以上）、そして優れたエネルギー効率を実現します。

PM OLEDは、行と列を順次スキャンしてピクセルを駆動する、よりシンプルなグリッドシステムを採用しています。コスト効率は高いものの、解像度とリフレッシュレートが制限されるため、小型で静的なディスプレイに適しています。

                                 パフォーマンス比較            

             市場アプリケーションと業界の展望

SamsungのGalaxyスマートフォン、AppleのiPhone 15 Pro、LGのOLEDテレビは、AM OLEDの色再現性と応答性を重視しています。世界のAM OLED市場は、2027年までに587億ドルに達すると予測されています（Allied Market Research）。低価格のフィットネストラッカー、産業用HMI、セカンダリーディスプレイなどに搭載されています。2022年の出荷量は前年比12%減少しましたが（Omdia調べ）、超低価格デバイスへの需要は依然として高いです。AM OLEDはプレミアムデバイスにおいて比類のない存在ですが、PM OLEDのシンプルさは新興市場においても存在感を維持しています。折りたたみ式デバイスやAR/VRの台頭により、これらの技術間の格差はさらに拡大するでしょう。                                                  

AM OLEDがロールスクリーンやマイクロディスプレイへと進出するにつれ、PM OLEDは超低消費電力のニッチ市場以外では陳腐化の危機に瀕しています。しかしながら、エントリーレベルのOLEDソリューションとしての実績は、IoTや自動車ダッシュボードにおける残存需要を確保しています。AM OLEDはハイエンドエレクトロニクス分野で圧倒的なシェアを誇っていますが、PM OLEDのコスト優位性は、今のところ特定の分野でその地位を確固たるものにしています。